(一社)東京科学機器協会では、木下義夫コレクションをはじめ、我が国初の理化学器械製品の総合カタログ「T.R.K」(第三版)といった、科学機器業界にとって歴史的に貴重な機器及び文献類を多数所有しています。
ここでは、協会が所有する歴史文化物をご紹介いたします。
●木下義夫コレクションについて
木下義夫コレクションとは、木下義夫氏(東京科学機器協会 参与/元理事 木下理化工業株式会社 会長)が半生をかけて収集してこられた科学機器業界にとって歴史的に貴重な製品群、文献書籍類です。
その数、物品類1900点、文献書籍類 1851冊という膨大な品目数に上るコレクションです。
江戸時代における硝子製造の礎を示す資料や明治期における理化学硝子の黎明期の製品から始り、大正、昭和と、それぞれの時代における理化学硝子及び関連の品物や資料等が収集されております。
(一社)東京科学機器協会は、木下義夫氏より、同コレクションを寄贈されるとのお申し出を受けたことに対しまして、平成25年8月20日に、これを有り難く拝受いたしました。アズワン株式会社様のご協力を受けて保管場所を提供いただき、保管に努めております。
その後、平成27年11月に、同コレクションの物品類1900点の写真付きの解説と、文献書籍類の目録を加えた「解説リスト」を編さんしました。下記より、「解説リスト」をPDF形式でご覧いただくことができます。
【木下義夫コレクション 解説リスト目録】
・物品類(1900点の概要解説) 木下コレクション_カタログ
・目録(文献書籍類1851冊のリスト) 木下コレクション_書籍目録
【木下義夫コレクションの概要紹介】
膨大なコレクションの中から、特に重要あるいは歴史的な契機となる理化学ガラス類及びカタログを取り上げ、歴史の概要と意義を紹介した記事をまとめた冊子です。
・「科学機器業界の歴史的な文化遺産の紹介」冊子PDF(四章構成本文18P)
【ご寄贈者:木下義夫氏の略歴】
1924年生まれ。13歳で上京、理化学硝子器具を製造する小さな町工場に弟子入り。徒弟制度の中で夜間青年学校を終え、終戦後、復員して理化学硝子工場に勤務の後、1949年に木下理化工業を設立。石油バーナーを開発し、文部省主催の理科器械修理技術講習会の講師として全国の教師に理化学硝子の基礎的な指導を13年間務めた。学校理化学用機器の発明に尽力すると共に「日本硝子細工夜話」をはじめ、先駆者の活躍した記録を数多く執筆して業界人の記録を著書として発表した。
●東京理化学器械同業組合 化学器械目録(カタログ)「T.R.K」第三版
「T.R.K」第三版の概要:
東京理化学器械同業組合(東京科学機器協会の前身)は、1922年(大正11年)3月、わが国初の理化学器械の製品カタログ「T.R.K」を刊行した。T.R.K第一版は、残念ながら1923年に発生した関東大震災により製版が焼失した。T.R.K第三版は、当協会が所有する同カタログの中では最古のもので、1930年6月に刊行された。
T.R.Kの刊行に当たっては、理化学器械という多品種で複雑精密な製品類をまとめあげるため至難の事業であったいう。T.R.Kは、全国3万カ所のユーザーに提供し、商品知識の普及に大きな役割を果した。また、当時の理化学業界の団結力を象徴する成果物であり、多くのユーザーの便宜に供した。
その後、東京理化学器械同業組合は、昭和19年に解散。終戦後の昭和20年12月に日本理化学機器協会を設立、さらに昭和23年に日本理化学機器商工会へと組織変更を行いました。これに伴い、「T.R.K」は「N.R.K」に名称を変更、さらに昭和40年、「SIA科学機器総覧」として刊行しました。そして、このたび2012年からは、記念すべき第一回JASIS開催を機に、科学機器総覧と分析機器総覧が統合され、「科学・分析機器総覧」を刊行するに至っております。
注)「T.R.K」第三版は、「分析機器・科学機器遺産(認定番号1)」に認定されております。
ご参考:「分析機器・科学機器遺産認定」
http://www.jaima.or.jp/jp/heritage/introduction.html
本件に関してまして、産業技術史に関連する機関団体等でご興味をお持ちの方は、ぜひ遠慮なくお問い合わせください。
【問い合わせ先】
東京科学機器協会
担当:岡田康弘
電話03-3661-5131